しかし、アラン・リーの挿絵が目的の人は、ぜひとも英語版を買ってほしい。なぜなら、日本語版は判が小型であるのに比べ、英語版は大型でアラン・リーの絵を堪能できるからだ。
従って、『指輪物語』の初心者ファンが読むと、圧倒的な情報量に戸惑ってしまうかもしれない。本編の内容についての解説ではなく、ひたすら伝説と神話についていちいちあらすじを全部書いてくれて解説してくれている。とにかく伝説と神話の勉強になる本。『指輪物語』本編を読んで、もととなったものにとても興味が湧いた、という人にはとても向いていると思う。
表紙をはじめ、イラストが超豪華(本編にも挿絵を描き、映画製作にも美術スタッフとして招かれたアラン・リー)なのも嬉しい。贅沢な作りである。
『ヴォルスンガ・サーガ』と『ニーベルンゲンの指輪』のストーリーが再話
されて収録されているのが便利。
挿絵も多く読みやすい論文で、「力の指輪」はきわめて普遍的なトピックで
あること、「輪」が異教のシンボルであることなどが述べられているほか、
上記のさまざまな神話・古代英語との比較研究がなされている。
『指輪物語』!!要登場人物のひとりアラゴルンをローマ皇帝になぞらえて
いるのは他にはない視点。