自分の子供達のために書いた「サンタ・クロースからの手紙」の絵は、優しさと遊び心があふれています。ホビット庄、スランドゥイル王の岩屋の門、ヘルム峡谷や馬鍬砦など、下書きと完成した彩色の挿し絵の数種類の図版を比べて見られるのも興味深いです。圧巻は「マザルブルの本」。モリアのバーリンの墓の近くで見つけた記録の最終ページ、いくつかの筆跡のルーン文字と最後の書き殴るようなエルフ文字が流れて終わっていて、!らに焼け焦げた部分まで、見事に彩色してある物です。また、エピローグとして書かれ、本編には使われなかった章にある、エレスサール王アラゴルンからサムに宛てた、エルフ文字の手紙もあります。どれもこれも、トールキン読者なら、感動できる作品ばかり。文章だけでなく、絵の才能まであったトールキンの世界を味わえる、嬉しい一冊です。