文庫版は気軽に読む為の物、ハードカバー版は人に薦める(貸す)用、
そしてこの愛蔵版を将来の私の孫に読んであげ、私が死んだ後は墓まで持っていきたい、そんな本です。
これを広げて読んでいると、本を読むことそのものが楽しくて仕方なかった頃、小さな体に大きな本を抱えて読んでいた、それだけで楽しく、大人になったような気持ちになれた幼い頃を思い出す。本に没入するというのだろうか、その気持ちがよみがえる。机の上に本を「広げる」楽しさを味わえる、本好きにはたまらない体裁。しかも挿絵はアラン・リーによるカラーイラストで紙質も変えてある。単行本は表紙のみアラン・リーのカラーイラストで、文庫版も表紙がアラン・リー、中身はモノクロの別画家による線画の挿絵。
お金と書棚に余裕のある方には、是非お勧めしたい。
勿論内容も素晴らしい!!読み始めたら止まることができず、私は四六時中、本当に夜も寝ずに読んでいました。とにかくそのくらい人を引き込む力のある作品です。これ以上の作品はないでしょ!!。訳も素晴らしく、外国語で書かれたのを翻訳したものにもかかわらず、「日本人でよかった」と思ってしまいました。
トールキン氏のストーリーそのものにしても、瀬田・田中両氏の訳にしても最近の作品では失われてしまったに等しいレトリックにお目にかかることができます。そのために、この作品の壮大さが良く伝わってきますし、この作品に漂う失われる運命にあるものの喪失の悲しみがいっそう際立っています。そして現代の作品とは一線を画しているからこそ、神話性が高まっているのでしょう。
最初の『ホビットについて』の部分で読むのを断念してしまう方が多いですが、「ホビットの冒険」(岩波書店/訳・瀬田貞二氏)を読めば、トールキン氏の創作であるこの種族についてかなり知ることができますから!!この部分をとばしても大丈夫です。ただ、この部分を読んだほうがよりトールキン氏の世界を楽しむことができるのは勿論のことですが。