それはさておき内容。まず、組織の基本的役割について、じっくりと論理的にわかりやすい説明が続く。組織の役割は分業と調整。分業にはどんなメリットとデメリットがあるのかを述べた上で、そのデメリットを小さくしていく調整の手段が記されている。どれも、読めば「当然だ」と思うくらい基礎的で簡単な内容のはず。
組織の役割を確認した上で、組織形態の議論に移っていく。組織形態の基本はヒエラルキーである。この説明に少し違和感を覚えるかもしれない。昨今は、ヒエラルキー(=官僚制)は悪であるという認識がはびこっているためだ。しかし、そんな違和感も、著者の丁寧な解説で払拭されていく。ヒエラルキーは基本であり、これを捨て去ることはできない、やってはいけないということがすぐに理解できるはずだ。
もちろん、ヒエラルキーにも問題点があるので、それを修正・調整・補完していくために、様々な組織デザインの話になっていく。マトリクス組織のような、水平的関係を作るということがその一例だ。
この本を読んで理解すれば、流行りの経営コトバに流されることはなくなるだろう。基礎・基本を大切にし、自分自身の頭で考え抜くことの重要性。今までの沼上先生の著書で貫かれてきた思想が、この本にも流れている。
沼上先生の半年分の講義を、家にいながらにして体感できる一冊。実際の講義よりも「毒」はないけれど、ボリュームはたっぷり。組織を勉強している人、流行りの経営コトバを自分なりの解釈で理解したい人などには、ぜひともオススメの一冊。
「基本を徹底的に知ることこそ組織デザインの第一歩」との著者の説明どおり、各組織形態の長所短所、運用上の原理原則について丁寧に解説されており、組織に属する人であれば大いに共感できる内容になっている。
本書は同著者の作品である「組織戦略の考え方」と合わせて読むと理解が深まる。本書で各組織形態の基本的特徴を網羅的に解説しているのに対し、「組織戦略の考え方」ではそれに派生する各トピックについての解説が述べられている。まず本書を熟読し理解したうえで、「組織戦略の考え方」も一読されることをオススメする。
アレンジが必要なのだが、そもそも基礎的な知識があっての話。
そういう意味で、初学者はもちろん、ある程度組織論について知識のある方も、
知識の再整理という意味で読む価値があると思う。
基本的なことであっても気づかされた点が多々あった。
組織論といっても、処理プロセスという切り口でも分析されているので、
必ずしも組織デザイナー的立場の方でなくてもプロセス設計にかかわる方々にとっても有益です。