と感じる。朝出かける前とか気づいた時に本をぱらっとめくって、
「今日は○○力を実践するよう心がけよう」などというように、手軽に
使ったりしていて、常日頃から本で書かれたことを忘れぬよう実践して
おり、そういう意味では「何かと役に立つ」。
ただ、惜しむらくは、「○○力の定義や必要性は分かった。では、どの
ように日々を過ごせば身につくか?」という問いには、最後まで踏み込めて
いなかったり、中途半端に終っているのが、少し残念である。
でも、それは、「その解は、一人一人の仕事の内容や目指すものによって
違ってくるもの。自分で探していきましょう」という、それこそ本書にも
記されている目標発見力などに通じるもの、ひいてはそれらを身に付ける
ために必要な努力、ということなのか、と思うと、それはそれで確か、と
も思ってしまう。
社会人になって、2〜5年目位の人、特に30代に入ってからのキャリア像を
描くのに日々苦労している人にとっては一すじの光を灯してくれるのでは
ないだろうか。
リクルートという会社(もちろんファウンダーであった江副さん)が、モチベーションを重視する社風であり、かつビジネス領域を新卒転職などの人事であることから、彼らのヒューマンリソースの視点は、スキル的なものよりもマインド・モチヴェーションなど心の姿勢的な視点が多い。「はじめに」で『技術とか、資格ではなく、もっと「本質的にいい仕事を楽しくやる」ための「対人」「対課題」「対自己」の能力に書きました』とあることからもそれがよくわかる。ある意味、心理学的な視点なんですよね。「自分探し」の視点です。そういう意味で、日本社会にはめずらしい、自分自身で独立して立つ横に世界を広げていく考え方ですね。決して、立身出世的上昇志向ではない。世界や社会よりも、自分自身の充実が最優先。そこは、興味深いです。
最も面白かった点は、高橋俊介さんの『キャリアショック』で初めて知った概念で、キャリアに対する「計画された偶発性」という概念。心理学者でスタンフォード大学教授のジョン・クルンボルツさんによるものだつたんですねぇ。キャリアは、目に前に差し出された偶然に『どのように対処していくか』という普段の心構えで、差が出てくるというもの。未来はまだ決まっていない、という発想ですね。
コンパクトに纏まっていて、自分の立ち位置を確認するにはいい本ではありますが、
本書を読んで、どれかの項目を明日から実践でき、さらに成果を結ばせられる人は小数でしょう。
あと目次通りに内容は展開しているので、先に目次に目を通すと良いと思います。
紹介されている能力は確かに必要か、もしくはあった方が良いので、
人生設計を見直すという意図で参考にするならば、★4つの書物です。
これからキャリアを積む優良学生の方には参考になると思います。