この本のいいところはまず客員研究者としてケンブリッジに赴いた偉い先生という感じが全くしないことです。まるで読者の私がさもその研究室で回りの研究者達や世界的の教授達と次第に仲良くなって親近感さえ抱いてしまうようなそんな錯覚さえおぼえてしまいます。天才肌の数学講師リチャード、オーストラリアの田舎から来た努力家のコウツ教授、その師でありながら折り合いの悪いベイカー教授、アメリカから来たピーターとカナダから来たウェイン、この二人と一緒になるとついイギリス人の悪口に花が咲いてしまうという著者。何より藤原教授の奥さんと三人の息子をとりまく近所の人たち、家のオーナー、ベビーシッター。映画でも見るような登場人物の!リエーションの豊富さもさることながら、特に次男が学校でいじめにあったときの対応に腐心する所はこちらも深く考えさせられました。最終章のジョークは最高。「無人島に男二人と女一人が漂着した。男たちがイタリア人なら殺し合いになる。フランス人なら一人は夫、一人は愛人となってうまくやる。イギリス人なら、紹介されるまで口をきかないから何も起こらない。」
地域の広大な一等地を芝生の広場のまま400年残し続ける
というような、マネーパワーではない豊かさ、などが
本当にうらやましく思えました。
藤原氏のイギリス人気質、科学に強い理由、などについての
分析も非常に鋭く、またユーモアに溢れています。
イギリスに対する、またそれ以上に日本に対する愛情の
伝わってくる本だと思います。