時代を経るごとにリスク論は百花繚乱となり、複雑さも増してくる。そこで1900年以降(近代・現代の各章)を読み進めるには、次のような対立軸を念頭におかれるとよいのでは。
それは、未来のことは計算可能という側と、計算不可能という側の対立軸だ。数学を駆使すれば未来の予測はできるとする側の代表格は、(やや古いところで)ケトレー、(20世紀に入って)フォン・ノイマン、モルゲンシュテルンなど。一方、いや、未来のことは不確実性や人間の直感というノイズに阻まれるから計算するのは無理、という側はケインズやカーネマン、トヴァスキー、タラーなどが論陣を張る。
ノンフィクションとしてのエンタテイメント性に終始している感じはなかった。過去形の話があたえられるのではなく、いまに直結している話だからかなと思う。
金融や株に興味のない人でも、将来を予測することと数学との関係性については興味をもって読めそう。節々に専門用語とかが前ぶれなく出てたりもするので、いきなりこの本に当たるのが不安ならば、たとえば野口悠紀雄先生の『金融工学、こんなに面白い』などファイナンスについての新書・入門書を読んでおけば、この本も読みやすくなって、興味も知識も倍増することと思います。