ただし、冒頭に書いた「好んで貢ぐ人間の心理」は本書には描かれていない。サラ金に手を出して自己破産、家庭崩壊、駐車場での幼児の熱中病死など、珍しくもない。朝から晩まで台の前に座っている忍耐力、攻略法は熱心に研究する勉強力はあるのに、それが搾取されるだけで何も生まないことをわからない。そんな人間が多数いて、始めてこの巨大産業が成り立つ。こちらのほうが根本的な問題とも思うが、本書とは別にまた痛烈な分析を読みたいものだ。
あとがきに曰く「たいていのパチンコ店の前では朝早くからいい若い者たちが開店を待ち構え、行列を作っている。彼らの時間と労力は勉学や生産に結びつかず、彼らの金銭はパチンコ産業の中で空転して、いたずらにホールや台メーカーをはじめパチンコ関連業者を潤し、中国人や暴力団の資金源になり、しかも警察の利権と化して警察をも汚染している。」まさに思い同じで、憂うべきことだろう。
ホールは設定をコントロールし、日中もサクラをつかい当り台をつくり、一般客には遠隔操作で出玉を操作し、出たら出たで、計数機では数%少なくカウントするなど、あの手この手で客から金を巻き上げる。
ホールやメーカーは警察や政治家への賄賂で住民運動や不正への批判をかわす。警察は特に、台の検定や諸々の監督・指導の権限がある以上、接待漬けになる。
同時に、メーカーやホールの経営者は1億円以上の年収、多くの裏金を得る。社員も高給。また一部は北朝鮮などへ送金される。
巨額の富と多くの矛盾、犯罪、警察の腐敗、それらを支えているのは、100万人以上といわれるパチンコ依存症のファンを含む1500万人の客である。構造的に、彼らが報われることはないことが明らかになる。
業界の矛盾をよくまとめたルポだと思うが、真に業界に警鐘を鳴らすのであれば、この産業を支えるパチンコファンの状況、つまりパチンコへの依存、親の育児放棄、破産、闇金融など、パチンコによって身を滅ぼしていく人々のレポートを、より充実させたほうが説得力があったかと思う。
この本によれば、
日本のパチンコ産業は、米カジノ産業に匹敵する規模で、
スエーデンやオーストリアのGDPと同じぐらいの規模(2727億j)らしい。
主な内容として。
警察との癒着、パチンコ店の不正まがいの手口、中国人集団の犯罪的手口、
北朝鮮への不正送金などが、いろいろ書かれている。
「裏ロム」「ゴト師」などの不正手口の細かい記述は、
パチンコをやらない者にとっては興味の範囲外だ。
パチンコ愛好家が読むと、面白いのだろう。
上の理由により、
すこし目を通してから、購入するかしないかを決めた方がいいかもしれない。
最後に。
パチンコは、ギャンブルとして店頭換金を認め、
そのぶん大幅に規制されるべきだろう。
溝口敦氏の意見も、そのようである。
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