この本も治療のエピソードにかなりのページを割いているので「抗癌剤―知らずに亡くなる年間30万人」とほぼ同じような感じでした。抗がん剤を取り巻く事情も今よりはかなり悪かったことが伺い知れます。TS-1という経口抗がん剤が新薬として大いに期待されている様子なども良く分かりました。
ところで話を元に戻しますと、「あきらめない患者」になるという趣旨は良く分かりましたが、読者が具体的にどうしたらよいかという指針がないような気がします。読者および縁者でガンを患った人がいる場合、この本を読む限り平岩さんの治療を受けないとだめであるという結論になってしまいます。そういった意味では本を読むことによって知識は増えるものの、患者が医師を選択するための指針にはなり得ません。ちょっと考えものです。
また、抗癌剤治療に関する記述も興味深い。抗癌剤といえば、強烈な副作用の印象が強い。しかし、それを可能な限り押さえ込み、効果的な治療をつづける方法があるという。日本のがん治療は、手術の結果は世界トップレベルであるが、抗癌剤治療は国際的水準から大きく遅れをとっている現状がある。内科腫瘍医の数も絶対的に不足しているという。こういった情報を知ると、医者に全てをまかせるがん治療は危険であり、患者が自ら学び、信頼できる病院・医師を探し、主体的に病と向かい合う事が極めて重要であるという事に、自然に気づく事ができる。
一人のがん患者としておすすめしたい本である。
「(略)自分の病気に対して、納得できる治療をしてくれる病院や医者を探して、十軒ほど訪ね歩くのだ(以下略)」
これが現実的でないことは誰でも分かるはずだ。(著者は情熱の問題だという)それにこの論法だと一つの病院にいったら当該診療科目の医師全員に診てもらった方がいいことになる。
一時が万事こんな調子だ。
こんなことなら店頭で内容に目を通せばよかったと悔やまれる。