マイルス、あるいはジャズに興味のない人には馴染みのない登場人物が多くて退屈かも知れません。しかし(30〜80年という)時代を知るには好適の書です。
一番意外だったのはマイルスが自宅ではほとんどJazzは聴かないでラフマニノフとかストラビンスキーとかばっかり聴いていたというくだりだ。これはギル・エバンスやビル・エバンスの影響が多々あるようだが、凄い意外なことだった。コードから脱却しモード(旋法)に自らの音楽的方向を求めた彼の歩みと重ねてみると時にラテンやロシアの民族音階というものに道標があることは確かに納得がいくことだ。マイルスの柔軟な頭脳はごく自然に『You're Under Arrest』あたりでマイケル・ジャクソンの『Human Nature』やシンディ・ローパーの『Time After Time』何かまで取り上げちゃったりする。次から次へ自らの正しいと信じるものへと突き進む。まさしく『Cool』だ。
もう一つ意外だったのがMilesが絶賛を惜しまなかった2人の人物だ。一度もけなすことなく賞賛しっぱなしだったのはドラムスのTony Williamsは分かるとしてもなんとあのPrinceだった。WooMoo。MilesはPrinceの様々な音楽的なアプローチを高く評価している。へぇ、そうなんだという感じだ。
逆にむちゃくちゃ悪く言われているのがウイントン・マルサリスでこれまたふーんそうなんだというカンジだ。Milesの視点は非常に興味深いものがある。