・理論は実践に仕えるもの。両者は対立するものではない。
・戦略思考の中心には敵対しあう意志の衝突がある。対立は解決することが問題なのではなく、一つの現実をどのようにみるかという互いに対立する見解が指揮官の頭の中でどのような議論を闘わせるかが問題。
・不確実性は、戦略の技術を高めてくれる源泉
・規範的な理論の利用よりも、継続的に熟慮することの方が大事。規範的な理論は対立を解消させ緊張感を弱める。有効なのはごく短期間。一見正しいことを教えてくれることが多いが、それをあてにすると視野が狭くなる。その結果、環境の微妙な変化や大きな変化を見逃す。
・戦略は道具ではない。「モノ」としての戦略が有効だったのは、過去の安定した状況での話。精神力と自由な想像力を最大限に発揮して、現実を常に明確にとらえるように心がける。
・単純さと複雑さ。単純さには勇気があり、複雑さには利口さがある。危険が満ちている状況では、利口さよりも勇気を重んじなければならない
・KISS(keep it simple, stupid)常に簡素さ、愚直さを心がける。可能な限り単純化されているかどうかが、真実か真実でないかを判定するリトマス試験
本書は、戦争という不確実性のなかで決断を迫られる将校の座右の書であるクラウゼビッツの戦争論を通じて、不確実性下での意思決定のあり方、更には経営哲学を説いている。
クラウゼビッツの戦争論の原著は、大作かつかなり難解な大著であり、本気で読み通すには膨大な労力を要する。これを平易に解説したのが本書だが、十分に咀嚼するためにはやはり根気強さが強いられる。
「第一級の知性と言えるか否かは、2つの相反する考えを同時に心に抱きながら、なおかつ思考を機能させる能力を持ち続けることができるかどうかで決まる」。スコット・フィッツジェラルドの名言である。フィッツジェラルドの言う「第一級の知性」に近づく道程が本書には示されているのだろう。
岩波で挫折した人やこれから読もうとする人にはおすすめの一冊です。