いい点は、日本人向けに書かれていることだ。翻訳ものを読むとアメリカの事例がほとんどでピンと来ないことがあるが、本書では日本メーカーの製品や、日本に導入された外資メーカーの製品の事例が多く使われており、わかりやすい。また日本の市場や消費者の特性の分析も入っているので、アメリカ製理論を補完する情報としても役立つ。日本で強いブランドが必要になった背景やブランドパーソナリティの箇所など、なるほどとうなずくことが多かった。一通り知っている方でも多くの気づきを得られると思う。
不満な点は、用語の定義の不明確さだ。例えば、新ブランドの開発要素の1つとしてブランドコンセプト(ポジショニング)と書いてある。そして、コミュニケーションの章ではコアアイデンティティという用語が出てくる。これら3つの用語はほぼ同じ事柄を指していると思われるが、それらが何で、相互に何が違うのかをはっきりした方がいいと思う。細かいことのようだが、共通の言葉で会話するために定義は明確でないといけない。また、ブランドはあいまいで感覚的なものとして捉えられがちであり、そういったイメージを払拭する意味でも重要だと思う。
この本にはブランド戦略というものが体系的に、非常に分かりやすく書かれている。
随所にちりばめられた事例が、身近なところから材を採られたものであるのも理解促進に役立ち、ありがたい。