ダラダラとインタビューが続き、途中に「ブランドは夢が大事だ」とか「経営者が夢を持っていないとダメだ」といった、他社に適用できないようなメッセージが続いたかと思ったら、特に結論めいたものも無く終わってしまった。
手法論としても「アンケートで顧客の声を聞こう」とか「毎年調査をやってモニタリングしよう」とか「ワークショップで夢を語ろう」といったレベルのアホくさい手法が開陳されており、正直読者をナメているとしか思えない。
単なる読み物としてはいい、という意見もあるかも知れんが、東大の経営学者が読み物としては面白い、というレベルで評論されていることに怒って欲しい。
と思いつつ、東大教授でこのレベルであれば、まだまだ戦略ファームのリードは大丈夫そう、という安堵を感じてしまったのも事実だが。
筆者は、ブランドは1つの企業モデルとして、従来的なシェア、収益追求型の企業モデルをシェア・マーケターと呼び、それに対して、強いブランドを育てることを第一の企業目標として置く企業モデルをブランド・マーケターと呼ぶことで区別している。これは言い換えれば、前者がP/Lに表される一定期間ごとの業績としての!ローを第一の評価基準にしているのに対し、後者はB/Sに表されるべき(実際、ブランドは資産計上されないが)長期にわたる蓄積としてのストックを第一の評価基準としているのだと言い換えることができるのではないだろうか。そう考えると、ブランドを構築するという企業目標は、まったく異なる企業モデル、経営的面からの事業評価基準をもつ必要があるのが明確にわかる。
ブランド構築とは企業が事業の片手間にやれるものではないということが、この本の隠れた主張ではないかと思える。ブランドに関するこれまでのアメリカ的な捉え方とはまったく違った捉え方を著書はここで提供している。
ブランドとは何か?ブランドの本質とは何か?を問題視している人には特におすすめしたい。
それぞれのブランドが、独自の経営理念、方針を持っているために、全体を通してみた、本書における結論というものがほとんど導かれていないという点は不満に思うかもしれないが、この本の評価を貶めるほどではない。
コーポレート・ブランド経営に携わる人々、経営学を専攻する学生だけではなく、一般の読み物としても楽しめる一冊であると思う。