まず阪本啓一の『ブランドの授業』は解り易いのがよい。本屋で
20分で読了できた。だが、残念ながら内容まで薄くなっている。
これでは雑談であり、とうてい「授業」とは呼べない。
それに比べ、田中洋の『企業を高めるブランド戦略』は中身が濃い。
そもそもブランドが何故効くのか、それを主観で述べるのではなく、
院生と一緒に実験を行なって明らかにしている。
それにケーススタディが実践的だ。「成熟した日用品市場に
海外メーカーが新製品を投ずるには、どうすべきか?」
「老齢化したロングセラー実用車がモデルチェンジするには?」
「バブル期に製品の改善を怠った調味料を再生するには?」などなど、
たいへん切実な問題を扱っている。しかも新書だから安い。
石井淳蔵の『ブランド』も新書だから安い。それに、ブランドが
商品から離れて一人歩きを始める過程の説明は、独創的であり、
気に入った。
ただ、いささか変わった本なので、気に入るかどうかは読者しだい。
この本はアマゾンで買う前に、書店で中身を読んでみるとよい。
具体例として身近な商品を大量に使っているため、分かりやすいといえば分かりやすいのだが、岩波新書らしい著者の主観的な研究内容といった感じで、客観的な根拠が多少弱いように感じられた。
第三章の「ニューコーク騒動」などというように、身近にある商品のブランドに関するエピソードはいろいろと学ぶことができるが、この本を読んでも、「ブランド」についての実践的なマーケティング力はおそらく向上しないであろうと思われる。
身近な例を用いて、「ブランド」を少し勉強してみたい、という人には比較的お勧めである。
それでも後半の第四〜六章の内容は理解することができた。ブランドのマーケティング知識に役立つ文章もあり、なかなか勉強になった。