この本のはしがきに、次のように書かれています。
パの名称はダンサーにとっても教師や振付師にとっても,
必ずしも必要なものではない.
多くのバレエ・アーティストが用語を誤用していることは
珍しくない.
しかしパの概念は明確に認識していなければならない.
非常に重要な点です。
パの正確な名前、実はプロの踊り手でも確実に把握しているとは
限らないのです。なぜなら、スタジオの中で通用するものが全てで、
用語も動きもすべて現場と身体で覚えた情報だからです。
辞典というからには、分からない用語を引くための本、と考えがち
ですが、そういう意味での用途はあまり期待できません。
また、決して分かりやすい読みやすい本ともいえません。
この本の真の価値は、パの名前の「概念」の把握と、用語の構造を
知ることです。例えば、アッサンブレとは「集める」という意味であり、
動きとしては「片脚で踏み切って両足に着地するパ」であることを
学ぶ、そしてその派生にどのようなアッサンブレがあって、流派に
よる名前の違いなどを知る、これが大切なのです。
興味を持った動き、ふと疑問に思ったパの項を引いて、目を通して
みる。身体で覚えた無形の情報が、確かな知識に変わる瞬間です。
この目的を理解しないと実用的ではありません。
中学の時に買って以来、大変重宝してきました。
この本を活用し、知識を携えた踊り手が増えることを願っています。