これほどお気楽な探偵ってのも、そうそういないんじゃないでしょうか。
奇妙な事件を前にして、うーんと首を捻る人たちを面白そうに見つめ、
しばしば煙に巻いたり、げははははと大笑いしたりしながら謎を解いて
みせる猫丸先輩。人一倍好奇心旺盛で、茶目っ気があって、お調子者の
猫丸先輩。妙に馴れ馴れしかったり、くだけた態度をとるかと思いきや、
謎を解き明かす時は、さり気ない優しさを垣間見せる猫丸先輩。
そんな猫丸先輩を見ているのはとっても楽しく、心がなごみます。
今回の猫丸先輩の事件簿は、全部で五つ。
いずれも、猫丸先輩がアルバイト先でひょっこり遭遇した、
殺人とか一切なしの消失事件。
事件の謎をこうひょいひょいっと、まるで子供が手品を披露して
得意そうにしている、そんな感じで解き明かしていくんですね。
読み終えた後の後味の良さ。くすりとさせてくれる爽やかな味。
春駘蕩、いい湯だなあと、鼻歌のひとつも口ずさみたくなる
倉知淳さんの猫丸先輩もの作品集なのでした(^^)
本書はこの猫丸先輩の、互いに何の接点もないアルバイト中に起きた事件簿。『日曜の夜は〜』でも、ヘンなバイトばかりしていたが、この作品集ではさらに輪をかけて、ペットショーのお使いやら新薬の人体実験Aらと、奇妙なところにばかり出没する。
死体は一つもなく、あえて共通点を探すとすれば、人かモノの「消失」の謎を解くものばかり。どの作品も物語としてよくできており、ユーモアたっぷりな作風は変わらない。謎解きの鮮やかさと共に、奇妙な猫丸先輩プレゼンツのちょっとした非日常を楽しむ短編集にも仕上がっている。
個人的には、あまりにもハマりすぎていてのどかな「猫の日の事件」、人体実験!のために小柄なのに採血されまくりでクタクタな猫丸先輩がかわいい「寝ていてください」がお気に入り。