この作品には4編が収録されているが、どれも100ページ足らずの読みきりで書かれる。
会話中心に進む物語は、掛け合いのようなやりとりが心地よいテンポの良さを生み出している。
また、嫌味のない登場人物たちによって、まったく気張らずにストーリーを堪能できる。
なお、このシリーズは一度集英社文庫より刊行されたものなので、シリーズ最初の本ながら、巻末には著者によってシリーズを総括したあとがきが記されている。
著者が、このシリーズをどのように考えながら、キャラクターを想って書いていたか、生みの苦しみの一片が垣間見られる。
まずはキャラクターが楽しい。深刻な事件を高校生の目から描いていて、「事件」と「日常」がうまいこと混じっている。本当はどちらに転ぶ事も出来るはずだ。国際的な大陰謀事件に転ぶ事も出来れば、下町ハードボイルドに徹底する手もある。シリーズ最初のこの短編集はそのどちらにも行かないところでうまいこと留まっている。その軽さをとりあえず楽しんだ。